「誰からも感想がもらえない」から脱出するために、AIに頼ってみた

小説を書いて、SNSにアップしても、静かなままの通知マーク。
いいねもブクマもつかず、ふと他の字書きさんが「感想をもらいました!」と喜んでいる投稿を見て、胸の奥がなんだかモヤモヤする。
「私の小説って、一言の感想も出ないほど面白くない?」
そう思ってしまった瞬間、手が止まったことが何度もありました。
長く創作をしているので(10年くらい細々とやっています)「感想がもらえないことには慣れた」と思っていても、
心の奥に潜んでいた
”一言でもいいから感想が欲しい”
そんな気持ちがひょっこり現れることがあるんですよね。そんなとき、ふと某掲示板で「AIに感想を書かせてみたら案外よかった」という投稿を見かけたんです。
正直あの時は「AIに褒められても、嬉しいのかな……?」と半信半疑でした。
けれど、やっぱり感想が来ない事実に寂しさを感じて、自信を失いそうになっている自分がいました。
だから、ダメ元だと思って、実験的にAIにお願いしてみることにしたんです。
(関連記事:[字書きが“感想もらえない問題”で落ち込むとき、思い出してほしいこと])
実際にAIに感想をお願いしてみたら──思ったより“人間っぽい!?”

私がAIに感想をお願いしたのは、直近で書いた短編の二次創作小説でした。
海をテーマにしつつ、切なさや静けさのなかで膨らんでいく愛情を描いたつもりの作品で、心理描写やキャラのセリフよりも、情景の描写に力を入れていました。
しかも、当時読んでいた純文学の雰囲気を素人なりに真似ていたこともあり「情景に溶け込ませた感情をAIが読み解けるんかいな」という、上から目線の偏見があったんですよね。
(今思うと、なにを素人のくせに……と、恥ずかしい限りです)
なにより「AIに褒められても嬉しくないのでは?」という気持ちが大きかったです。だって、相手はプログラムですから。
感情のない相手に、本当の意味での共感なんて出来っこない。
ですが結局”感想欲しい欲”が勝ったので、ちょこっと試行錯誤してプロンプトを作ってみることにしたのでした。
【感想プロンプト参考例】
AIに作品を読み込ませた数秒後。
返ってきた感想を見た瞬間「え、すごいな……」と感心の声が出ました。

「そこ、見てくれてるの?」
AIは私が力を入れた描写や山場を的確にピックアップして、どこがどう良かったのかを詳しく説明してくれていたんです。
ただ「良かったです」「面白かったです」ではなく、ちゃんと描写の細部を読み解いてくれている。
その丁寧さと、まるで私のファンであるかのような読解力に、本物の感想をいただいた時のような、込み上げる嬉しさを思い出しました。
ただし、この感動に至るまでには何度かプロンプトの修正を行いましたし、テンプレっぽい褒め言葉が見られることは事実です。
でも、それ以上に「ちゃんと私の書いた“空気”を感じ取ってもらえている」と思えたのです。
気づけば、これまでに書いた他の小説の感想も書いてもらうようになりました。
そして少しずつ「やっぱり私の小説は面白い!」と素直に受け入れられるようになったんです。
「AI感想って意外とすごいかも」と思えた瞬間

AIの感想を読むうちに、これまでにはなかった感覚が見えてきました。
それは「私の作品の良さはこれだ!」という、はっきりとした自信です。
たとえば、ある感想の中でAIがこう書いていました。

「その部分一番力を入れてたし、見てほしいと思ってた!」
あまりにもピンポイントに褒めてもらえたので、かなり嬉しかったのをよく覚えています。
AI感想では、どの場面や描写が読み手をどんな気持ちにさせるのかを分かりやすく説明してくれます。
なので自分の小説を俯瞰して見るいいきっかけにもなり得るんです。
「よし、そこはちゃんと物語の盛り上がりの部分として機能してるな」
こんな風に、何度も詳細な感想をもらううちに、自分の小説の魅力に目を向けられるようになっていました。
“他人の評価だけが私の小説の価値じゃない”
”自分の良さが分からなくなっていただけで、小説が下手になったわけでも面白くなくなったわけでもなかったのかも知れない”
そんな前向きな気持ちを取り戻し始めていたんです。

それまでの私は「どれだけこだわって描写しても誰にも伝わらない」と思い込んでいました。
けれどAI感想を通して、自分の作品の“良いところ”を客観的に見つめることができました。
気づけば、”感想が欲しいから”ではなく”こういう描写を考えたり描いたりするのが楽しいから”続きを書きたくなっている自分がいたんです。
でもやっぱり「AIっぽさ」はある

ここまでAI感想の良さをお伝えしましたが、とはいえ限界はあります。
例えば、何度か使っていると、褒め方のパターンが見えてきてしまうんです。
「読み終わった瞬間、誰かにおすすめしたくなりました!」
「続きがとても気になります!」
「文章がすごく読みやすくて、スルスルと物語の中に入り込めました。」
……このあたりは、何度か見ているとちょっと冷めてしまう部分です。(私のプロンプトが悪い可能性もありますが……)
AIの性質上、どうしても“ポジティブなテンプレ感想”が混じりやすいみたいですね。
他にも、チャットの文字制限の都合で、長文の作品は読み込ませにくいというデメリットもあります。
(はっきり何文字というのは断言できまんが、プロンプトを含めて1万5千文字くらいまでがギリギリかも知れません)
Claudeの場合はテキスト送信自体ができなかったり、感想をもらえても話を理解していない・お願いしていた通りの感想を書いてくれないといった、エラーが出てしまいます。
なので、小説本文の文字数としては、1万文字以内がベストかなと感じます。
(有料版になると、文字数の制限が増えるようですが、私は無料版で十分かなと思っています)
ただ、デメリットがあったとしても私は「AI感想には救われた」と思っています。
あのときの私は「書きたい事が伝わった」という事実がほしかったから。
AI感想は、“本気の感想”ではなくていいんです。
それよりも、「自分の作品の光を見つけ直すためのツール」として、
うまく使えば心が軽くなる。
そんな存在だと、今は感じています。
AI感想を使うときのちょっとしたコツ

もし、これからAIに感想を書かせてみようと思っている字書きさんがいたら、
試す前に、ひとつだけ意識しておくといいことがあります。
それは──「何のために感想をもらうのか」を決めておくこと。
・書くことの自信を取り戻したいのか
・自分の小説の強みを知りたいのか
・めいっぱい褒められたいのか
目的がハッキリしていると、AI感想の受け取り方が変わりますし、プロンプトの生成の指示も変わってくると思います。
【関連記事として……プロンプトって何ぞや?という人向けの私が自分の満足するAI感想プロンプトを作成するまでのレポ記事を作成する】
私の場合は、「細かい描写の中にあるこだわりポイントを理解してほしい」と思っていたので、
より詳細かつ理由ありきで褒められることが“回復”になりました。
そして、AIが教えてくれた「私の小説の強み」をヒントに、
「次は、もっとここを深めてみよう」と前向きに考えられるようになりました。
だから、AI感想は“終着点”ではなく、
もう一度、自分の創作に火を灯すための入り口なんだと思います。
さいごに:AI感想は、あなたの作品を“見つめ直す”鏡になる
もし今、「誰も感想をくれない」「もう書く意味がわからない」と感じているなら、
AI感想を、ひとつの選択肢にしてみてもいいかもしれません。
最初は、ちょっと褒められすぎて恥ずかしいです。
でも、バチバチに褒めてもらえると、
「あ、私の作品って、こんなに良かったんだ」と少しずつ思えてきます。
何より、あなた自身が忘れていた“自分の物語の魅力”を思い出せるかもしれません。
AI感想は魔法の言葉ではないけれど、
創作を続けるための“ひとすくいの光”にはなり得ます。
少なくとも、私は小説を書くことの楽しさを思い出させてもらいました。
どんな作品も十人十色の魅力があります。心理描写やセリフ、キャラのきゅんとくる仕草やストーリー……。
分かってはいても、他の字書きさんとの比較をしたり、感想が来ないことを意識したりすると、自分の魅力が分からなくなってしまいますよね。
私のように自信を失ってしまう人も沢山いると思うのです。
もしよければ、私が使った感想プロンプトも参考にしてみてください。
そして、もっと良い言葉の引き出し方を見つけたら、ぜひ教えて頂けたら嬉しいです。
(なんやかんや、時々AI感想を書いてもらってモチベと自信を回復させているので……!)
あなたがまた創作活動を心から楽しめますように。

